2014年8月12日火曜日

夏の夜空に輝く蠍(さそり)の火 ~アンタレス~

夏の星座に含まれる1等星4つこと座ベガわし座アルタイルはくちょう座デネブ(これらは夏の大三角を形作る)、さそり座アンタレスです。今日は、アンタレスについてのお話です。

アンタレス(Antares)という名前は「火星に対抗するもの(Anti-Ares、アンチ アレス)」という意味をもちます。火星も赤く見える星ですが、それに負けないくらい赤い星だからです。赤く輝いて見える理由はアンタレスが老齢の星だからです(老齢の星は膨張して表面の温度が下がります。表面の温度が低いと相対的に赤く見えます)。大きさは太陽の700倍以上、しかし表面温度は太陽よりも低く約3,500Kです(太陽は約6,000K)。地球からの距離は約600光年です。

さそり座の心臓部分で輝くアンタレス。宮沢賢治原作の銀河鉄道の夜では「蠍(さそり)の火」という名で紹介され、ある逸話が女の子によって語られます。それは、「さそりがイタチに追いかけられて井戸に落ちたとき、自らのこれまでの所業を悔いて自己犠牲の精神に目覚め、体が燃えて真っ赤なうつくしい火になって夜の闇を照らし始める」という話です。ギリシャ神話とはまた違ったさそり座にまつわる話でとても印象的です。

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